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ドローン苗木運搬実用化へ

美郷町内乙原のJR西日本所有の旧三江線沿いの森林、通称「鉄道林(竹・乙原1号林)」の再造林地の全景。昨年11月、JR西日本や鳥取大学、広島大学の林業再生実証実験で人工林等を皆伐した鉄道林でもあります。2月6日(木)に再造林事業でドローンの苗木運搬が表紙写真の耕作放棄地の元山(運搬発信基地・離陸地点)から再造林地の先山(苗木搬送先)へ行われる予定になっています(矢印方向へ運搬飛行)。

町内林業のドローンによる苗木運搬の実用化は林業従事者の急傾斜地への苗木運搬や運搬後の植栽の労力の負担を軽減することで労働災害の防止の一助として、少しでも労働環境を良くしていこうという意図があります。
そこで1月25日(土)、実際にドローン苗木運搬の元山から再造林地の先山へ苗木は背負ってないものの、歩いてみることにしました。
鉄道林内には「鉄道防備林・昭和31年2月新設」の支柱が・・・。すでに線路敷には鉄道林内から搬出した沢山あった木材がなくなっており(搬出出荷)、鉄道林に向かって林業機械のキャタピラの跡がレールを跨いで再造林地(搬出場所)へとのびていました。

さらに進むと線路敷を搬出土場として使った場所もこのとおり、木材はなく、小枝などが少しあるだけに。

林業機械のキャタピラで踏み固められた線路敷は歩きやすく、鉄道林のすそ野・土場に到着。ところがそこから見上げる山肌は、急峻で岩肌がむき出し、岩や石がごろごろとした山がみられました。遠景と近景では全く違って、元山から見た鉄道林・再造林の姿とは別物の山のように感じられました。
木材生産以上に落石防止等の住民の暮らしの足として三江線の運行安全の役割を平成30年(2018)4月1日の三江線廃止まで担ってきたことに鉄道防備林として植栽された意味にも納得。落石防止のための金網も中腹に張り巡らされた後も見られました。

足元に注意を払いながら急傾斜地をゆっくり一歩ずつ苗木を下す予定の先山を目指してのぼっていきます。
途中、尻もちをついてズボンの尻に泥も。やっとドローンの苗木を運ぶ地点・先山の周辺に到着して再造林地を見渡すとすでに森林組合で再造林地はきれいに地拵えがしてありました。さすがプロと感心してしまいます。植栽準備はOK、あとは当日の天気のみ。
苗木を背負って運ばなくても歩きにくく体力も消耗。現場の林業作業員の皆さんの日頃の苦労を知る貴重な体験になりました。令和4年からドローンによる苗木運搬の実証試験を美郷バレーの取組みで行ってきましたが、2月6日からスタートする実用化で労働環境が少しでも改善されることを先山から見た地拵えした棚と冬空の乙原集落の景色を眺めながら確信できた大寒の1日でした。