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新春 美郷バレー・きゃらバン

1月22日(水)、美郷町役場に隣接するみさと館を会場にJA島根おおち地区本部農政会議邑智地区(以下「農政会議」)の獣害対策研修会が開催されました。
開催にあたり、主催者事務局のJA島根おおち邑智地区本部営農部長から「美郷町から獣害対策を一緒にやっていきましょうという提案をいただいてこのたび研修会を開催にこぎつけました」と冒頭あいさつがありました。

このため、今回の農政会議研修会は美郷バレーの協定企業団体等が積極的に活動・推進している美郷バレー・きゃらバンも共催。お馴染みの獣害研究家“雅ねぇ”こと、井上雅央先生(以下「雅ねぇ」)とタイガー(株)社員の2人が講師を迎えてサル対策を中心に研修がはじまりました。
雅ねぇは「自分で考えて昨日と違うことをやってほしい(他人からの受け売り、広告などに惑わされない)・・・音・匂い・光で野生動物に対策として聞くものはありません、効いていたらとっくに獣害はなくなっています、いい思いをするのは業者だけ(関西弁)」、「対策の順番は①みんなで勉強 ②守れる田、畑、集落にかえていく ③囲い ④個人で無理なことはやらない」、「獣害は生き物が安心して食べることのできる場所、山から里へ住みついただけのこと、つまり、安心と餌を準備しただけのこと・・・だから対策は餌付けをやめること!是非、図書館みさとの森に私の著書があるので読んでみて下さい」と。

次に休憩を挟んでちょうど1年間町内で過ごした地域おこし協力隊3名を紹介。この1年間、町内の現場できめ細かく指導や対策をしていきたエピソードを交えて紹介。

次に美郷バレー協定企業で鳥獣害対策製造機器メーカーのタイガー(株)社員によるサル対策の講義。
タイガー(株)は新たにシカやイノシシの捕獲処理や利活用、町内では青空クラフトへの皮革製品のなめし革や小中学校のジビエ給食への材料の提供、麻布大学フィールドワークセンターとの連携など旧おおち山くじら生産組合の取組みを継承して幅広く活動を広げている麻布大学と並ぶ美郷バレーの中心的存在。
講義では電気柵によるサル対策、そのための環境整備の重要性などを話されました。また、町内のサル対策の現場を指導で回る中で電柵の電源スイッチが入っていなかったり、柵が道路際まで設置されているため電圧が低く効果がなかったり、回路として機能しない事例を写真で紹介され、人為的ミスの多さによるサルの畑侵入を指摘されました。こうやったら田畑を守れますよという町内の設置事例も写真で紹介。

次に雅ねぇ、タイガー(株)の2人の講師への質疑がはじまりました。
ワイヤーメッシュやトタンの下からのイノシシの潜り込みの対策や電柱支え線からのサルの侵入防止対策、電圧は何ボルト以上が野生動物に効果があるのか?、箱ワナにイノシシが入らないのは?などの質疑に現場の事例も含めて2人が回答され、会員の皆さんもメモや何度もうなずくなど、営農部長から「開催してよかった」と充実した研修になったことへの感想の声が聞かれました。

時間も予定時間をなんと1時間オーバーするくらいの白熱よりも和やかな雰囲気で研修が終盤にさしかかりました。会場には邑南町から邑智郡農政会議会長や川本町からも参加され、美郷バレー・きゃらバンのメンバーが他の町でもこうした研修に来ていただけるかという質問もありました。
回答は「ハイ!」(タイガー(株))
最後に農政会議邑智地区副会長からの挨拶。
「集落で最初誰もで花火など使ってサルを追い払ったりしても月日が経過すると誰も協力しなくなり、一人頑張っても心が折れる(雅ねぇの一人で無理をしない)、美郷バレー・きゃらバンで今回の研修機会を設けてもらったのでみんなで利用しないといけない」と。

雅ねの講義の言葉で「私(雅ねぇ)や役場、タイガー(株)がいくら良い対策を指南しても自転車の2つの補助輪でしかありません。大事なのは補助輪でなく2つの主軸の車輪です(そこで暮らす人・生産者=主体性)。少しでも補助輪が外れることが大事です」という言葉に、終始和やかな研修会の集約された言葉。新春きゃらバンのスタートにふさわしい研修になりました。