美郷バレー・山くじらフォーラム4(2日目)
10月3日(木)美郷バレー・山くじらフォーラム2日目。
「今日も頑張るぞ!」と美郷バレー課職員3名に初日に引き続き、2日目も健康福祉課・生越さんが手伝い、バレー課にとって心強い助っ人です(写真:やる気満々の生越さん)。
2日目は前回フォーラムからまる2年経過し、初日の美郷町長挨拶のとおり、新型コロナや豚熱感染拡大などのピンチをチャンスに変えてきた美郷バレーの真骨頂を発表。シカをテーマにした3つの講演とパネルディスカッションです。
2日目の講演のトップは美郷バレー協定企業・タイガー(株)取締役の小林さん。
昨年4月に美郷町では豚熱感染確認区域に指定、その後10月末に町全域が確認区域になった中で豚熱感染区域での捕獲イノシシの処理やPCR検査によるイノシシ利活用、さらに豚熱感染区域内におけるイノシシの処理方法を麻布大学フィールドワークセンター演習で学生をアテンドなど紹介。
次に昨年4月から美郷町や広島市安佐動物公園と一緒にライオンへのシカ肉のと体給餌を紹介(写真:昨年10月22日に動物公園で一般公開とその時の雄ライオンの食いつきの様子)。今後生息拡大が予測されるシカの対策、さらにその先の地域振興や新たなビジネスとしてシカ肉を「美郷もみじ」ブランドで利活用紹介しました。
さらに、美郷バレー協定企業の(株)テザックと美郷町が共同開発した“楽ちん”省力化をテーマとした農村女性や高齢者目線の電気柵支持具の流通販売を連携して担っていることなど美郷バレーの進化を紹介されました。
講演の2番手は広島市安佐動物公園・獣医師の野々上さんが演題は『動物園が考える と体給餌の意義』と題して講演されました。
動物園関係者がこのテーマで話すことは滅多にない貴重な講演とあって会場参加者も興味津々。食を通じた飼育動物ライオンの素顔、かといって野生の本能も紹介しながら、飼育動物が何を食べ、そのための動物個々の食のエネルギー設計などを論文含めて話されました。奥の深い話でした。さらに「なぜ、シカ肉のと体給餌なのか」をライオンの普段の餌、廃鶏や時に馬肉を食するときとの比較を紹介、次に講演される麻布大学教授 島津先生の話へとバトンが渡されました。
午後からは午前中の2人の講演を受けて、麻布大学教授・島津先生が『人も動物も歯が命~“歯周病”から人と動物の共生を考えるよい歯(418)プロジェクト~』と出して講演されました。
講演では歯周病が与える人への影響の怖さを写真や大きな病につながっていくか、感染リスクを話されました。人の話とあって会場の参加者の表情はとても興味・関心が伝わる一方で、シカやと体給餌とどうつながるのか・・・?でした。主催者としてはシメシメといったところ。
オーラルヘルス(口の健康)は人も動物も共通して大事なことを話される中、よく噛むこと、ここに飼育動物のと体給餌が関係し、健康にも影響するという話に誰もが興味深々。
主催者には以下の感想が・・・。
フォーラム2日目の最後のプログラムはディスカッション。テーマは『魅力に変える!シカの利活用の意義について』。4名が登壇・・・コーディネーターは麻布大学教授・島津先生、パネリストはタイガー(株)取締役・小林さん、広島市安佐動物公園・獣医師 野々上さん。野々上さんは動物園の役割は動物を見てもらうだけではなく、教育施設としてどう見ていただくか、教育の啓蒙活動の使命があることからも特に動物の命を大切にすることを伝える手段につながるという意味があると。
もう一人、急遽駆けつけてくだった同動物公園ライオン飼育員の屋野丸さんがサプライズで登壇。日々ライオンと接している屋野丸さんはシカ肉を餌として与えること、飼育動物でも野生本能がよみがえるのか、きれいに食べるという話をしていただきました。また、と体給餌のイベントでは50~60人の大勢の家族の前で広島弁で軽妙に説明される屋野丸さんの話にも現場の様子が伝わってきました。
2日目のフォーラムを終えて主催者に寄せられた感想を紹介します(以下の感想)。
「特に2日目の安佐動物公園〜麻布大学の2件の講演は、まさに美郷バレーの核心的話題だったと感銘を強く受けました。「ミソ」は、すぐやれない理由を並べる社会にあって、「繋いで」「やってみた」あれとこれとが「つながった」ということだな〜と、そこに感銘を受けた次第です。と体給餌というチャレンジを美郷町役場さん、タイガーさんと安佐動物公園さんが取り組み始め、そして麻布大学の島津さんが歯周病という人畜感染症という切り口で研究したら、リングが繋がるって、すごいことだと思います。利活用、アニマルウェルフェア、人と野生動物との付き合い方、たくさんのテーマがつながっていっていると思います。」
以上。
フォーラム2日間を手伝ってくれた健康福祉課 生越さんも大変勉強になったと。「いつか、山くじらフォーラムの雰囲気のある福祉の大会を開きたい」と福祉への希望に満ちた決意を新たにしていました。