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2018年3末廃線 旧三江線沿いの鉄道林

11月29日(金)午前10時、雨風ときにみぞれ山陰特有の冬空の下、美郷町乙原でJR西日本所有の森林、通称「鉄道林」と呼ばれる面積約5.8ヘクタールに林立したスギ・ヒノキ材を線路敷の活用による木材搬出技術の実証、評価、「森林再生実証実験」について報道向けの現地説明会が開催されました。
JR西日本、広島大学、鳥取大学、邑智郡森林組合などのJR鉄道林関係者はじめ報道機関計28名が参集。

平成30年3月末をもって廃線になった約108キロメートルの旧三江線。
全国各地でローカル線の存続・廃止の議論、そして沿線地域の地域振興が論じられている中、約50年の樹齢の鉄道林の更新・再生することによって水源涵養、土砂災害防止、生物多様性の確保など森林の持つ多面的機能を効果的に発揮させることなど、自然との共生の取組みとして今春から関係者で協議・準備を重ねて実証実験が行われています。
この実証実験はJR西日本、広島大学と鳥取大学が共同研究として実施。美郷町は今年2月からJR西日本と美郷バレーの協働の取組みと位置付けて全面的に協力・連携しており、伐採後の再造林や育林等で美郷バレー協定企業団体と林業振興や獣害対策などで今後さらに関わってきます。

現地説明会では、JR西日本と邑智郡森林組合から実証実験の概要や取組み経緯をJR西日本、現地の森林施業や線路敷を利用した高性能林業機械の活用について邑智郡森林組合(=美郷バレー協定団体)のそれぞれ担当者から説明がありました。

その後、実際に線路敷を移動しながら伐採から積み出しまでの工程を見学しました。
旧三江線線路敷には林業機械を起動実演。何役もこなすハーベスタを動かし、立木を伐倒し枝払・枝払いし長さ4mの玉切り、グラップルのついたフェラバンチャ―ではい積された丸太を積載したフォワーダーで道路まで運搬しトラックに積載する一連の流れを説明。

平成30年3月末に最後に走った列車から6年8ヶ月ぶりに関係者や報道陣に見守られ、線路敷を林業機械が走るという光景が見られました。お世話になった記憶もよみがえり、生憎の天候と寒さながら心が厚くなる光景でも・・・。

来春まで検証・評価も含めた実証実験は続きますが、実証試験を通じて鉄道林に限らず線路沿いの民有林等について線路敷を活用することの有用性を検討していくことに。美郷町以外のこうした資源活用にヒントや取組みが波及することを願うばかりです。
この鉄道林の活用・森林再生実証実験は、美郷バレーの真骨頂「ピンチをチャンスに変える」、今回はJR西日本、広島大学、鳥取大学、森林組合ほか関係者と知恵を絞って「廃線でやれん、やれん(ダメだ、ダメだ)」ではなく、新たな視点でチャレンジしていこうという明るい話題の取組みにつながった山陰地方の冬空の1日でした。