獲ったどぉ~・・・
12月17日(火)、午前10時頃、一本の電話が・・・。
「4頭イノシシが捕まりました」と。声の主は美郷バレー・きゃらバンで町や麻布大学と一緒に活動しているタイガー(株)の社員。
この日は三瓶山が望めない、時折、雨やみぞれ、あられの降る冬の空模様。
12月12日(木)に国営開発農地の一つ、寺谷団地に仕掛けた箱ワナに4頭イノシシが捕まったという電話。
高大な寺谷団地の奥の一角に据えられた箱ワナ。軽トラック荷台の大きさほどのスペースの中に4頭のイノシシが御用となっているという電話。
早速、有機の美郷有限会社(以下「有機の美郷」)に連絡すると「よかった」という安堵の声。「でもまだまだ柵の不十分なところがあるので手直ししないと・・・」と捕獲されたことより収穫を思う社員の気持ちが電話越しに伝わってきます。
ここで有機の美郷について少しふれておきましょう。
有機の美郷は平成17年(2005)に設立。ちょうど大和村と邑智町が合併した平成16年10月新町「美郷町」誕生とほぼ重なります。あの桑茶で全国に名を轟かせた江津市にある会社とグループ会社になります。会社兼加工場は町内惣森の旧小松地(こまつじ)小学校。会社の前にはその当時のままの校庭もあります。ハト麦や大麦若葉、ショウガ、ケール、桑等々、有機JAS認証の有機農産物の生産とそれを一次加工処理され、この時期は人気商品・新そば10割ソバを地元産直みさと市で販売されるなど美郷町の有機農業をけん引している企業です。
御用となったイノシシの話に戻って、実はこの時期、イノシシは箱ワナにかかりにくく、捕獲の多くは山にくくりわなという獣道に仕掛けるワナが主流になります。敢えてここに(農地と山際の間)箱ワナを仕掛けたのは、農地の近くに牧場もあって牛の餌やおが粉、もみ殻、堆肥、牧草地など冬場でも餌が充実していることをにらんでの箱ワナの設置でした。
寺谷団地の奥、現場の箱ワナにはこのとおり。
箱ワナには確かに4頭います。夏に生まれた4頭のイノシシ。本当は親のイノシシ(メス)を捕獲したかったのですが、発情期を迎え子イノシシと離れ、山に戻ったようです。しかも警戒心も強く、そう簡単には御用といかない中で、しかも親離れ直後とあって好奇心旺盛な子イノシシが兄弟で捕獲。実のところ、箱ワナを設置して6日後に上手く捕獲出来た大きな理由は、キクイモの眠っている農地を柵で囲って、常にイノシシなどの野生動物が潜り込んで侵入しないように見回りとメンテナンスをしていることが功を奏した一番の原因。有機の美郷の社員の皆さんが一番の功労者となります。しっかり農地をディフェンス、または維持管理をこまめにしていくこと捕獲効率を上げる一番のポイント。
捕獲された翌日の18日(水)の午後3時、寺谷団地に訪れるとみぞれが降る中で、二人の有機の美郷の社員がワイヤーメッシュの下を補修されていました。「こういう形で柵の下を止めていいですかね」と柵の管理や見回りに捕獲後も余念がありません。「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、設置だけでなく、常日頃のメンテナンスの大切さを知っている有機の美郷の社員の皆さん。
「獲ったどぉー」の喜びも生産者と一緒に喜びを分かち合える、2024年を締めくくる美郷バレー・きゃらバンにふさわしい活動になりました。
「獲ったどぉー」、獣害対策はあくまで手段、大切なことは農産物を収穫すること。
次は「獲ったどぉー」ではなく、「キクイモたくさん掘ったどぉ~(収穫できたどォ~)」の有機農産物の収穫の喜びの声を聞きたいものです。