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第4回美郷バレー山くじらフォーラム3

10月2日(水)美郷バレー山くじらフォーラム1日目。
日本の獣害対策の巨頭の講演がありました。午前中は麻布大学教授・美郷町の組織機関「おおち山くじら研究所」所長の江口祐輔先生、午後は“雅ねぇ”こと獣害研究家 井上雅央先生が登壇。同日に2人の講演は全国見渡しても今は実現できない貴重な時間になりました。
トップバッターの江口先生は『一味も二味も違う 美郷バレーの獣害対策の秘密』と題して講演。

講演では捕獲依存の対策(捕獲頭数ばかり注目)や手段が目的化している獣害対策に対して美郷町は捕獲だけに依存しない総合対策に取り組んでいること、さらに長年、捕獲頭数が増加する一方で被害は減少していないことを指摘。しっかり田畑を守ることや環境対策を行った上で里に出没するシカやイノシシの加害個体を効率よく捕獲することを提案。特に長年、江口先生らが主張してきた「柵の設置に不備が多いことや鳥獣の捕獲頭数と農業被害の減少に明確なつながりの根拠がないこと」を財務省が指摘したことは画期的と話されるなど参加者の関心を集めました。
午後の講演は、雅ねぇ。雅ねぇはステージ登壇せずにステージ前でお話。歯が抜けそうでしゃべりにくいから少しでも会場の人に聞こえるようにより近くにという理由から・・・聴衆の笑いを誘っていました。

奈良県職員時代の吉野地方・十津川村や大塔村(現・五條市大塔町)と現在の村の様子を昔のエピソードを交えて終始、会場の笑いが絶えない講演となりました。特に2024年のジェンダーギャップ指数が156ケ国中、日本は118位と男女格差・平等達成度が低いことを指摘され、獣害対策を含めて女性の社会進出、活躍の場が重要と話されました。美郷町で暮らしているのも女性の積極的な獣害対策への参画が効果を上げることを研究テーマとして長年取組み、雅ねぇが研究していく環境が整っていること(=研究したい農地の利用など自由度が高いこと、お母さんたち女性が積極的に参加していること、地域コミュニティが強いことなど)を理由の一つに上げるなど、あっという間の60分の講演になりました。
2人の講演の余韻冷め終わらないうちに、美郷町内で獣害対策をきっかけに地域コミュニティを醸成している都賀公民館の住民活動を副館長の布元明子さんが長年指導されている雅ねぇとトークセッション形式で発表。

公民館は地域の困りごとを解決する役割があると獣害研修に取り組む中で、サルやクマの出没に対して住民間で防災チャット(美郷バレー協定企業・古河電工の防災サポート)を活用して情報共有したり、野生動物を集落に寄せ付けないためのカキのもぎ取りや伐採の取り組みを紹介。布元さんと雅ねぇの阿吽の呼吸のやり取りは主催者として期待どおりのトークセッションに・・・。終了後、雅ねぇ曰く、「布元副館長、日ごろの取組みもっと自慢すればいいのに・・・」と。この日は布元副館長も少々トーク控えめながら、住民の主体性や潜在能力を上手く引き出す術が伝わった素晴らしい2人の会話のやりとりでした。
フォーラム初日、最後のプログラムは美郷バレー協定企業3社の発表がありました。
最初は(株)テザック(本社・大阪市)が美郷町と共同開発した電気柵支持具等の発表、次に(株)BO-GA(本社・敦賀市、発表は広島事務所)は広島県内5自治体で行っているtegos(=テゴス「方言でてごうする(手伝う)の意味」)の設立目的や活動の紹介、最後に古河電気工業(株)(本社・東京)が防災に関して住民や地域コミュニティが自発的に行動する防災コミュニティ―の開発(美郷町内2ケ所で実施)「みんなサポート」を紹介しました。

フォーラム初日を終えて、参加された町内在住の女性から「やっぱり参加して聞くことは大変勉強になった。これからも積極的に研修会に参加したい」という嬉しい感想を主催者側に寄せていただきました。
フォーラム2日目は2年間で進展している美郷バレーの取り組みを披露します!