見出し画像

円山(まるやま)のサル退治

7月21日(日)6時前、朝もやがたちこめる美郷町乙原。集落内に細長く横たわる円山(まるやま・標高約73m)。その麓に鬼退治ならぬ、サル退治のため農業者・非農業者の8人の有志が集結。
これまで集落内でもサルの出没や被害がなかったエリアに今シーズン、専業農家のトウモロコシ畑のサルの食害から周りの田畑にも影響が生じたことをきっかけに前日夕方にサル退治決行を決定。雅ねぇ(=獣害研究家)もメンバーとして参戦!

サル退治の前にやるべきこと、それは前日の夕方にトウモロコシ畑の所有者にサルの餌場と化した畑の電柵の張り直し。お願いしてサルを集落に誘引している要因をなくした上での決行です。
招集をかけたメンバーの一人は少しでも力になればと前日にロケット花火の竹筒をわざわざ用意してくれました。

作戦は当日朝5時30分に円山を自転車で1周まわってサルがいるかどうかの位置確認。サルが円山から旧三江線沿いの山へ逃げないよう7人が円山を囲い、残る1人が円山の尾根を縦走。サルの鳴き声でロケット花火を発射して円山の尾根に逃げるところを配置した一人が追いかけながら花火を撃つという作戦を決行しました。

作戦どおり、サルの群れは円山の中腹を右往左往。サルもさるもの、突然、ひっそりと身を潜めるも、子ザルがたまらず声を発するのを聞いてその場所めがけて一斉発射。携帯と花火の発射位置、さらに自転車を使ってサルの動きを確認しながら1時間弱の攻防が続きました。円山の先端を流れる江の川に太陽の光が差し込めてきた朝7時過ぎにサル退治終了!

サル退治はサルをいじめるのではなく、サルに「ここは餌場でない」というメッセージ。トウモロコシ畑の電気柵の手直しも同じメッセージ。
今回のサル退治を検証するとトウモロコシ畑はきちんと電柵が設置されて維持管理されていなかったこと、餌場となったことでサルの群れの滞在時間も長くなり、周囲の畑への影響がでたこと、昨年秋から冬にかけて田んぼの二番穂の放置でサルの群れが冬の餌場としていた伏線があったこと、何よりもこのエリアには出没しないだろうという油断があったことがあげられます。
素晴らしいことはこうした検証をみんな素直に受け入れて次頑張ろうという姿勢でした。
円山のサル退治でケガの功名ではないですが、サル対策で一番大切なことは集落の人と人の“つながり”をあらためて確認できたことはトウモロコシよりも大きな収穫です。サルの被害は人の心、コミュニティーの弱いところに付け込んできます。参加者の誰一人として他人やサルを責めることを一切せずに、「これからも力を合わせてやっていこう」「みんなで集落のいろんな場所に目を光らせておかないといけないな」と皆さんのやり切った感が伺えました。
“獣害対策は地域づくりのバロメーター”、「対策(サル退治)やろう」ですぐに集まった今回のイベント、日ごろのコミュニケ―ションが充実していることを証明してくれたヒグラシの鳴く朝もやの中の円山のサル退治でした。