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サル対策の最大の武器

8月6日(火)、吾郷公民館(美郷町簗瀬)で吾郷公民館と吾郷地域連合自治会主催の『野生動物対策講習会』が開催されました。参加者は関係者含め18名。女性も多く、非農家の方も。
講師は“雅ねぇ”こと、獣害研究家 井上雅央(いのうえ まさてる)先生と美郷バレー課。

雅ねぇは、山のサルと里のサルの出産のサイクルや生存率の話からサルの増えた理由を説明。参加者に「みなさん、サルにはいくつ餌があると思いますか?」の問いかけに「〇〇ちゃん、もう20年間、何度も同じこと言ってるけどいくつだっけ?」、〇〇ちゃん「・・・」。雅ねぇ「玄関出たらすぐ忘れるから、今日は講習会おわったら頭を動かさず、そっと公民館を出てくださいね。みんな覚えたことすぐ忘れるから私はずっと同じことしゃべっても新鮮に聞いてもらえる、商売としてありがたい」会場で笑いが。「いいですか、サルの餌は2つ。サルに食べられて人間が怒る餌と食べられてもおこらない餌(2番穂のひこばえ、自分の田畑以外の他人の畑の野菜など)」

続いて、美郷バレー課からは・・・サル対策の製品は充実していて適切な設置とその後の管理が大切、一方、サルをよく見かけるのは山のサルが里山化、裏を返せば、雅ねぇのいう集落が餌場(サルが安心して食べられる場所)になっていることを指摘。集落の環境変化でサルの遊動域はいつでも変わるもの、群れが集落に居座る期間が長くなったり、追い払ってもすぐ戻ってくる要因を説明。その上で集落の環境対策の重要性(すみわけ)と吾郷地域の集落内の農地の現況や電気柵が雑草に埋もれている現場の写真で説明しながら、各地域の航空写真でサル退治を指南。

そこでポイントなるのは“集落の絆(人と人のつながり)”。他人事でなく、みんな自分事として集落や隣近所で取り組むことがサル対策。個人で田畑を守れてもそれ以外の田畑が餌場となっている限り、その集落はサルの遊動域であり続けるのです。サルの被害は防護柵の設置・管理や環境対策、その根底に人の日々の暮らしの絆が最大の武器として求められているのですと。例として7月21日、円山のサル退治後、12日目の8月2日の夕方、サルの群れが円山にいるとの一報が。仕事帰りの日没直前、有志数名が出動。1人が薄暗い円山を縦走してロケット花火で追い払い、山の周りではいつの間にか3名がロケット花火で応戦。この参加者には女性の姿も。雅ねぇはロケット花火の火の粉で服に数個の穴が(=サル対策では名誉の負傷といっています)。

サル対策の最大の武器、それはそこで暮らす人と人の絆なのです。まさにサル対策は団体戦、チーム力が問われる対策は、きっと魅力ある集落づくりにつながっていくものと参加者は納得され、頭を揺らさずにそっと吾郷公民館をあとにされました。